アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動

アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動

紛争のイメージが強いアフガニスタン。多くの人々が避難を強いられ、人道的危機にさらされていますが、そこに拍車をかけているのが気候変動の問題です。アフガニスタンは今、一体どのような状況なのでしょうか?また、私たちには何ができるのでしょう。今回は、アフガニスタンの現状や気候変動によって起こる影響などについてお伝えします。

目次

アフガニスタンの現状

中東に位置する多民族国家のアフガニスタンは、1979年にソ連軍が侵攻して以来、紛争が続いており、今もなお混乱状態にあります。その理由は、反政府武装勢力によるテロや襲撃によるものです。

現在(2021年10月時点)、武装グループがこれまでの政権を事実上崩壊させ、首都カブールは無政府状態となり、強奪事件や爆破攻撃などさらに治安が悪化しています。それによって、多くの民間人がテロや戦闘に巻き込まれ、アフガニスタンは世界で最も長く続く難民危機の地となっています。

難民とは、紛争や迫害などによって、生命の危機がおびやかされ、他国に避難せざるを得ない人たちのことです。その約8割は特に弱い立場にある子どもや女性だと言われています。

驚くべきことに、アフガニスタンの人口約3500万人のうち約65%が子どもや若者です。このような情勢悪化が続く中、子どもたちや若者、多くの民間人は気候変動によってさらなる危機に見舞われているのです。

アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動|アフガニスタンの現状

気候変動による干ばつや洪水でさらに厳しい状況に

情勢悪化で人々の生活がおびやかされる中、感染症の流行に加え、干ばつや洪水などの環境被害が相次いでいます。アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動、その原因や影響について見ていきましょう。

アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動|気候変動による干ばつや洪水でさらに厳しい状況に

地球温暖化が原因で起こる干ばつや洪水

アフガニスタンでは、近年気候変動による自然災害が深刻化しています。地球温暖化による急激な気温上昇が影響し、ここ4年間で2度の大きな干ばつが起こっているのです。干ばつとは長期間雨が降らなかったり、少量しか降らなかったりすることで、農作物が枯れ果て、山火事などの災害を引き起こすことも。

また、干ばつが長引くと土地が砂漠化してしまうこともあります。さらに、春の強い雨による洪水や、急激な雪解けによる河川の洪水などの被害も重なり、農業生産の低下や経済的困難、飢餓に苦しむ人があとをたちません。

自然災害の影響による食糧危機

情勢悪化に加え、相次ぐ自然災害の影響で、アフガニスタンの3人に1人が飢えに苦しんでいると言われています。その数なんと1400万人。そのうち200万人の子どもが栄養失調に陥っているのです。満足に食事が得られず、命を落としていく子どもも少なくありません。

今後も気温上昇は予測されており、さらに干ばつによる被害が拡大するであろうと言われています。こういった食糧危機の問題を解決するには、人道支援を求めると共に、長期的に人々の食生活を安定させていけるよう、アフガニスタンの農業を安定させることも重要課題となっています。

アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動|自然災害の影響による食糧危機

急がれるアフガニスタンへの支援活動

アフガニスタンの情勢変化によって、これまで支援を担ってきた国が次々と撤退するといった動きが起こっています。

また海外の資産にアクセスできないことも重なり、現金不足や物価の高騰などが発生した結果、アフガニスタンは今、経済崩壊の危機にさらされているのです。これによって中流階級の人々も収入が無くなるなどの苦境に陥り、飢餓層は拡大していると言われています。

このような状況のアフガニスタンを救うために、国連WFPでは2021年の年末までに2億ドルの寄付が必要だと呼びかけています。

支援金は栄養治療食やビタミンA剤、寒さから守るための毛布や避難生活に欠かせない浄水や石けんなどの衛生キットなど、さまざまな支援物資に変えることができます。

アフガニスタンは遠く離れた国ですが、私たちの支援によって人々の生活を支える手助けになることをぜひ覚えておいてください。

アフガニスタンの危機に拍車をかける気候変動|急がれるアフガニスタンへの支援活動

未来を担う子どもたちや苦しむ人々のために私たちができること

アフガニスタンが現在置かれている危機的状況は、日本で暮らしている私たちには想像し難いことかもしれません。しかし、こうした問題に目を向け関心を持つこと、そして少しでも支援の輪を広げていくことが大切なのではないでしょうか。

アフガニスタンで苦しむ人々、未来を担う小さな子どもや立場の弱い女性を救うために、私たちができることは少しでも寄付をするなど、まずは一歩行動に起こしてみることです。

また、これ以上温暖化による気候変動の被害が拡大しないよう、温暖化を防ぐことを意識して生活を送るのも良いでしょう。ひとりひとりが省エネに取り組んだり、節水を心掛けたりすることも未来を変える大きな力となります。

ぜひ今一度、自分にはどんな支援ができるのか考えてみてはいかがでしょうか。



参考
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2021T059.html#ad-image-0
https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/2019/2019_12_0003.pdf
https://ja.wfp.org/stories/afukanisutan3renni1renkajienikushimuguolianwfpharendaodeweijinohuibinijinli
https://www.asahi.com/articles/ASP9R5W7RP9RUHBI002.html

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