雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化

雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化

冬といえば、真っ白で美しい雪景色を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、昨今では暖冬の影響で、日本各地で雪不足が続いています。

積雪の減少により雪まつりなどのイベントは中止になり、スキー場は閉鎖や休業を余儀なくされるところも増えています。

暖冬の原因には地球温暖化が関係していると考えられていますが、このまま温暖化が進むと雪は降らなくなってしまうのでしょうか。

今回は、そんな疑問にお答えするべく、地球温暖化による降雪量の変化や影響について、詳しく解説します。

目次

このまま地球温暖化が進むと気候はどうなる?

温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量を抑える対策をとらずに地球温暖化が進むと、将来の気候はどうなってしまうのでしょうか。

文部科学省と気象庁による発表では、十分な対策をとらずにこのまま地球温暖化が進めば2100年頃には20世紀末と比べて日本の年平均気温は4.5℃程度、冬季の平均気温は5℃程度上昇することが予測されるとしています。

今より最高気温が4~5℃上がることを想像してみてください。たとえば東京では、夏の最高気温は40℃近くとなり猛暑日が続くでしょう。そして、冬は最高気温15℃を超える日が出てくるかもしれません。

もちろん地域により差はありますが、冬に雪が降らなくなることも、十分考えられるのではないでしょうか。

雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化|このまま地球温暖化が進むと気候はどうなる?

雪が減少する地域と増加する地域がある!?

地球温暖化が進み、平均気温が5℃近くも上昇すれば、雪は減少するように思われます。しかし、地球温暖化と降雪量はもっと複雑に関わっています。

実は、地域によって降雪量が減少する地域と増える地域があると予測されているのです。ここでは地域によって異なる降雪量の変化について詳しく解説します。

雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化|雪が減少する地域と増加する地域がある!?

<西日本や東日本では降雪量が大きく減少する>

本州全体で見ると、ひと冬に降る雪の量が少なくなると予測されています。特にもともと雪の少ない西日本や東日本の平野部では、まったく雪が降らない年も出てくる可能性があるといわれています。

文部科学省と気象庁の予測によると、西日本の日本海側は、積雪量が20世紀末の2割程度にしかならないとのこと。冬の景色は大きく変わってしまうかもしれません。

<北海道や北陸地方では降雪量が増える>

本州全体ではひと冬の降雪量は減少するといわれていますが、一方で北海道や北陸地方では今よりも降雪量が増えると予測されています。しかも、「ドカ雪」と呼ばれるような大量の雪が降る日が多くなるといわれているのです。

「なぜ気温が上昇しているのに雪が増えるの?」と疑問に感じるかもしれません。雪が増える理由として考えられているのは、海水温の上昇にともなう、大気中の水蒸気量の増加です。

地球温暖化による気温上昇は海水温の上昇も引き起こします。海水温が上昇することで海から多くの水が蒸発し、大気中の水蒸気が増えます。水蒸気が増えれば雲を発達させるエネルギーも大きくなるため、雪が増えるという予測になるのです。

また、北海道や北陸地方はもともと気温が低く、真冬の最低気温は-20℃に達する地域もあります。地球温暖化で気温が上昇したとしても、0℃を越えなければ雪は降り続けると考えられるでしょう。

雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化|<北海道や北陸地方では降雪量が増える>

降雪量の変化が与える影響

地球温暖化が進むと雪が極端に降る地域とまったく降らない地域が出てくると予想されていますが、降雪量の変化によって具体的にどのような影響が考えられるでしょうか。詳しく見ていきましょう。

<スキー場やその周辺施設など観光産業へのダメージ>

東日本や西日本など、降雪量が減ることが予想されている地域には、現在すでに雪不足で悩まされているスキー場が多数あります。この状況は地球温暖化によって悪化していくと考えられるでしょう。

スキー場が経営困難に陥ると、ホテルや飲食店など、周辺施設もダメージを受けることになります。地域一帯の経済にまで影響が広がることになるでしょう。

<ドカ雪による雪崩などの被害>

北海道の上川地方では2021年12月に1日の積雪量が100cmを超えるなど、記録的な降雪量が観測されています。地球温暖化で今以上に大雪が降るとなると、雪崩や家屋の倒壊などの災害が起こる可能性が高まります。また、積雪で交通網が混乱してしまうことも多くなるでしょう。

被害を最小限に抑え、人々の暮らしを守るためにも、雪害に備えた対策を打たねばなりません。

雪が降らない未来は本当に来るの?地球温暖化による降雪量の変化|<ドカ雪による雪崩などの被害>

雪とうまく付き合える未来をつくるには

地球温暖化で気温が上昇することによって、雪が降らなくなるだけでなく、極端な大雪が増える地域が出てくる可能性があることがわかりました。

地球温暖化と降雪量の関係は複雑であり、私たちの生活環境に与える影響も大きいといえるでしょう。

雪に悩まされることなく、うまく付き合っていける未来をつくるためには、温暖化対策を進める以外にありません。

現在、日本では環境省を中心に、再生可能エネルギーの導入やエネルギーを蓄えて使う「畜エネルギー」、エネルギーを効率的に使う省エネが進められています。温室効果ガスの排出を削減するためには、こうした取り組みや新しい技術の開発が重要となってくるでしょう。

日常生活の中で省エネを心掛けていくことはもちろん、幅広い人に伝え、関心を持ってもらうのも大切なことです。社会全体の意識を高め、日本の美しい雪景色をみんなで守っていきましょう。

・参照

https://www.metsoc.jp/default/wp-content/uploads/2020/08/SS2019_05.pdf
https://www.jma-net.go.jp/sapporo/tenki/kansoku/amedasrank/indexmxsncdesc.html
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/lca/co2reduction.html

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