宇宙技術がSDGsに貢献!衛星データを活用した取り組みとは

宇宙技術がSDGsに貢献!衛星データを活用した取り組みとは

持続可能な社会を目指して、世界中で取り組みが進められているSDGs。その達成を目指し、日本の宇宙航空研究機関「JAXA(ジャクサ)」を始め、各国の宇宙機関が地球観測衛星などの技術を活用して、SDGsに貢献できると表明しています。

そこで今回は地球観測衛星がどのようにしてSDGsに貢献できるのか、また衛星データを活用した具体的な取り組みをわかりやすくお伝えします!

目次

地球観測衛星がSDGsに貢献する理由

そもそも地球観測衛星とは、陸域、海、水、大気、人間活動など地球で起こる様子を宇宙から観測できる衛星のことをいいます。

地球観測衛星には、それぞれにさまざまな種類のセンサを搭載しており、植物の分布状況や海面水温、地表面の状態や大気の水蒸気量などを観測することが可能です。

また、地球観測衛星から得られるデータは、「衛星データ」と呼ばれ、気象情報や河川情報、海洋状況など地球環境に関する情報を、電波設備のある地上局へ送り届けています。

こうした地球観測衛星を活用したシステムがあることで、宇宙から地球で起きていることを広範囲にわたって把握することができ、SDGs達成のために適切な手段を取ることに貢献できるのです。

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宇宙技術がSDGsに貢献!衛星データを活用した取り組みとは|地球観測衛星がSDGsに貢献する理由

衛星データを活用した具体的な取り組み

ここではJAXAが運用する地球観測衛星の事例をもとに、衛星データを活用した具体的な取り組みを見てみましょう。

宇宙技術がSDGsに貢献!衛星データを活用した取り組みとは|衛星データを活用した具体的な取り組み

<森林変化を監視、熱帯雨林を管理する>

地球観測衛星は、宇宙から森林変化を監視し、熱帯雨林を管理することに役立っています。

JAXAは独立行政法人国際協力機構(JICA)と協力し、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を用いて、約77ヵ国における熱帯雨林の伐採や開発状況のモニタリングを行っています。

2018年2月には「だいち2号」がブラジルの森林減少を検知し、違法伐採を阻止したという事例もあります。

宇宙から森林変化をとらえ、豊かな熱帯雨林を管理することは、SDGs15「陸の豊かさを守ろう」にも通ずる取り組みです。

<海洋環境を守る>

地球観測衛星は、宇宙から海洋環境を守ることにも役立っています。地球観測衛星によって、赤潮や油の流出などを検知し、海上災害の被害を最小限に抑えることで、水産資源の保全につながっています。

また、海面水温や風速を観測し、海洋状況の把握や気候変動の予測にも役立ちます。海洋環境を守ることは、SDGs14「海の豊かさ守ろう」SDGs13「気候変動に具体的な対策を」にも貢献する取り組みです。

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<気象を観測、洪水などの災害を軽減>

地球観測衛星は宇宙から気象を観測、降雨量を把握し、洪水などの災害を軽減することに役立っています。

衛星データと地上データを統合し、数日前に下流地域の洪水を予測。警告、避難情報を住民に発信することで、洪水被害を軽減しています。

特にアジア地域の国際河川など、上流域の降水量の把握が難しい場所では、衛星による全球データが有効活用されています。

また、斜面変動の監視による土砂災害の警戒や火山の噴火予測など、気象の観測はあらゆる災害の警告、避難情報の発信に役立ち、災害の軽減を担っています。

災害から人々の命と暮らしを守ることはSDGs 11「住み続けられるまちづくりを」、SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」などに貢献できる取り組みです。

<農業を観測、食料の安定供給に寄与>

衛星農業気象監視システムによって、宇宙から農業を観測し、食料の安定供給に役立っています。土地の利用や作物の種類、作物の生産状況などは農業開発にとって重要なデータです。

作物の成長に大きく影響する日射量や降水量、温度などの気象情報から、世界の農産物の生産状況を把握することができます。それによって、食料価格の極端な変動にブレーキをかけ、農業市場の改善や食料の安定供給が期待できるでしょう。

これらのデータは、SDGs2「飢餓をゼロに」へ貢献できる取り組みです。

<大気汚染物質を観測、人々の健康を守る>

地球観測衛星は宇宙から大気汚染物質を観測し、人々の健康を守ることに役立っています。
宇宙からPM2.5や煙霧(えんむ)などの流れを観測し、発生地点を特定。そのうえで地上観測網を補い、汚染予測情報を正確に発信します。

大気汚染物質から人々の健康を守ることは、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」に貢献できる取り組みです。

宇宙技術がSDGsに貢献!衛星データを活用した取り組みとは|<大気汚染物質を観測、人々の健康を守る>

衛星データに目を向けて地球の状況を客観的に把握しよう

地球観測衛星によるデータは、SDGsのさまざまな分野に貢献することがわかりました。

地球の様子を宇宙から観測することで、森林や海を守り、災害の軽減や食料の安定供給、
さらには大気汚染物質から人々の健康まで守ってくれます。

衛星データは、JAXAの地球観測衛星データサイト「Earth‐grapfy」で誰でも確認することができます。ぜひ、衛星データに目を向けて、地球で今どのようなことが起こっているのか確認してみてはいかがでしょうか。

客観的に地球の状況を知り、視野が広がることで、SDGs達成に向けて考えるきっかけになることでしょう。

地球観測衛星データサイト「Earth‐grapfy」

参考:

https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/42.html
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/satellite-knowledge/whats-eosatellite/transmission/index.html

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