十五夜と言えばお月見。お団子をお供えして月を眺めて……となんとなくは知っていても、深い意味までわからないという人も多いのではないでしょうか。
また、十五夜は毎年9月15日と思い込んでいるなど間違った認識をされていることもあるかもしれません。そこで今回は、秋の風物詩であるお月見について、十五夜の由来や歴史、お供えする物の理由など詳しくご紹介します!
一年のうちで最も月がきれいに見える日のことで、「中秋の名月」とも呼ばれています。
中秋の名月と呼ばれる理由は、秋のちょうど真ん中に出る月だからです。では、秋の真ん中とはいつを表しているのでしょうか。
かつて旧暦では、季節が決められており、7月~9月が秋とされていました。そのため、秋の真ん中は8月。さらにその真ん中の日にあたる、8月15日が中秋の名月(十五夜)とされていました。
新暦になった現代でも旧暦の8月15日が十五夜であることには変わりません。しかし、毎年日にちが変わります。なぜなら、旧暦は月の満ち欠けを基準にしていたのに対し、新暦は太陽の動きを基準にしており、1年の始まりや長さが異なるからです。
そのため、現代では9月中旬~10月上旬の間で訪れる満月の日を十五夜としています。
2021年から2025年までの十五夜は以下の通りです。
◆2021年 9月21日(火)
◆2022年 9月10日(土)
◆2023年 9月29日(金)
◆2024年 9月17日(火)
◆2025年 10月6日(月)
夏の暑さが過ぎ、秋の夜風が涼しく気持ちいい時期ですね。
そもそもなぜ、十五夜にお月見をするようになったのでしょうか。その歴史は平安時代までさかのぼります。
貴族たちが中国の観月を取り入れるようになったのが始まりで、月を見ながら酒を交わし、船の上で詩歌を楽しむなど、当初は風流な催しものでした。その後、江戸時代になると庶民の間にもお月見の風習が広がります。
しかし、庶民のお月見とは貴族の遊びのようなものではなく、稲や作物を収穫できた喜びを分かち合い、そして感謝する、収穫祭や初穂祭のような意味合いの行事に変わってきたのです。
十五夜の時期はちょうど稲が育ち、収穫する時期とも重なっています。
一年に一度の十五夜、お月見を心待ちにしていたのに雨が降ってしまった……なんてこともあるでしょう。しかし、残念がることはありません。実は、十五夜以外にもお月見をするチャンスがあるのです。それは一体いつなのか、詳しく解説します。
十五夜の次に月がきれいに見える日と言われている「十三夜」は、旧暦の9月13日~14日を指しています。豆や栗の収穫を祝うことから「栗名月」「豆名月」などとも呼ばれています。
2021年から2025年までの十三夜は以下の通りです。
◆2021年 10月18日(月)
◆2022年 10月 8日(土)
◆2023年 10月27日(金)
◆2024年 10月15日(火)
◆2025年 11月 2日(日)
十日夜とは旧暦10月10日に行われていた収穫祭のこと。「田の神が山に帰る日」とも言われており、この日までに稲の刈り取りを終わらせる地域もあるほどです。地の神に感謝する行事とされ、主に東日本を中心に行われており、行事の内容は地域によって異なります。
例えば、作物にいたずらするモグラを追い払ったり、ぼた餅などを十五夜と同じ様にお供え物をしたりするなどさまざまです。十日夜はお月見がメインではなく、満月に関わらずに行われるといった特徴があります。
2021年から2025年までの十日夜は以下の通りです。
◆2021年 11月14日(日)
◆2022年 11月3日(木)
◆2023年 11月22日(水)
◆2024年 11月10日(日)
◆2025年 11月29日(土)
十五夜にはただ月を見るだけではなく、お供え物をする風習があります。特にススキを飾る印象が強いですよね。しかし、なぜススキを飾るようになったのかという理由を知る人は少ないかもしれません。
そこで、十五夜にお供えするものと、それらをお供えする理由を解説していきます!
十五夜のお供え物の中でも代表的なススキ。収穫の感謝を表すお供え物として本来ならば稲穂を飾りたいところでしたが、まだ穂が実る前であるため、代わりに稲に似たススキを飾るようになったと言われています。
また、ススキは鋭い切り口を持っているため、古くから魔除けになると考えられていました。悪霊や災いなどから収穫物を守ってもらい、翌年の豊作を願う意味も込められています。
お米を主食としている日本では、餅や団子は行事や祝い事に欠かせない品のひとつ。丸いお団子は月を表現し、お供えをすることで収穫の感謝を表しています。地域にもよりますが、十五夜には15個、十三夜には13個のお団子をピラミッド型に積んでお供えします。
お供えした後のお団子はどうしたら良いのか気になる人もいることでしょう。お団子は月に感謝をしながら美味しくいただきましょう。
芋類や栗、枝豆に果物など、秋に収穫されたばかりの農作物をお供えして、豊作を祝うといった風習もあります。稲作以前には里芋をお供えしていたことから、十五夜は別名「芋名月」とも呼ばれています。
また、月見団子の丸い形は里芋に形を似せているとも言われています。お供えした農作物はもちろん、無駄にすることなく感謝しながら味わいましょう。
平安時代から伝えられてきたお月見。現代人は日々忙しく、なかなかゆっくり月を眺める時間がないかもしれません。
しかし、十五夜の日だけでも時間を忘れて月を眺めてみませんか。満月が放つパワーや月の美しさに目を向けることで、エネルギーが満ちあふれ、心も豊かになることでしょう。
また、月に感謝しながらお供え物を食べることで、食のありがたみも感じられますよ。今年の十五夜は歴史に思いを馳せながら、お月見を楽しんでみてはいかがでしょうか。