持続可能な社会を目指すための課題『SDGs』でも取り上げられている「貧困をなくそう」という目標。現在、世界では貧困で苦しむ人々が7億人を超えていると言われています。
今回は世界が抱えている社会問題『貧困』について、貧困を引き起こす原因や世界の現状、また貧困が及ぼす影響や私たちにできる支援などについてお伝えします。
そもそも貧困とはどのような状況を示しているのでしょうか。貧困は2種類あると言われていて、そのうちのひとつが『絶対的貧困』です。
絶対的貧困とは、着るもの、食べるもの、住む所が無く、人間として最低限の生活をすることが困難な状態のことを指しています。世間一般がイメージしているのは、アフリカなどの発展途上国における貧困ではないでしょうか。
一方、もうひとつは『相対的貧困』と呼ばれるもの。相対的貧困とは、その国の年間所得の中間値の50%に満たない状態を意味しています。つまり、衣食住は最低限確保できていたとしても金銭的に困っているという状態です。
なお日本は豊かな国のように思えますが、実際は相対的貧困に当てはまる子どもは、日本の中だけで7人に1人いると言われています。貧困は決して遠い国だけの問題ではないのです。
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世界では、極度の貧困状態にある人(1日あたり1.9米ドル以下で暮らす人)が7億960万人いると言われています。つまり、世界の人口の10人に1人が極度の貧困の中での生活を強いられているのです。しかも、そのうちの約半数である3億5600万人は子どもです。
十分な食事や飲み水が得られず栄養失調になったり、衛生環境が整っていないことから病気にかかったり、治療が受けられずに亡くなっていく子どももいます。子どもの死亡率は1900年と比較すると改善されつつあるものの、2017年のデータでは15歳未満の子どもが年間推計670万人亡くなっているのです。
また、家計を支えるため重労働を強いられるなど、児童労働の問題も発生しています。このような状況に追い込まれ、適切な教育を受けられない子どもは少なくありません。教育の機会を失うことが、彼らの将来に大きな影響を及ぼすことは容易に想像できるのではないでしょうか。
加えて、近年では新型コロナウィルス・パンデミックや紛争、気候変動などの影響で貧困に陥る人の増加が予測されているのです。
極度の貧困は人々の暮らしにさまざまな影響を及ぼします。どのような影響があるのか見ていきましょう。
先ほどもお伝えしたように、貧困地域に住む子どもたちは児童労働を強いられ、満足な教育が受けられないことが多く見られます。また、学校に行かせるお金が無いため、教育に対して親の意識が低い傾向にあると言えます。
子どもたちが教育を受け能力を伸ばすことで未来は発展していきますが、貧困にあると今を生きるために働かなければなりません。このように貧困は教育格差を生み出してしまいます。
貧困地域では満足な医療が受けられず、命を落としやすいという問題があります。衛生環境が整っていないため、はしかやマラリアといった本来なら防げる感染症も拡大しやすいのです。また、医療設備も不十分なため、治療方法のある病気であっても、助かるはずの命を落としてしまっているのが現状です。
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日本では考えられないことかもしれませんが、女の子が教育を受けることが当たり前でない地域が存在しています。学校に通う可能性がないとされている女の子は男の子の1.5倍。これは女性が軽視される性差別の問題が大きく関わっています。
特に貧困地域では女性というだけで、学校に通えず家の仕事をさせられたり、強制結婚をさせられたりすることも多いのです。立場の弱い女性は特に貧困の影響を受けやすいと言えるでしょう。
そもそもなぜ、ここまで極度な貧困が起こってしまうのでしょうか。貧困にはさまざまな理由がありますが、中でも大きな原因となっているのが『政治、紛争、災害』の3つです。それぞれ解説していきます。
貧困層の多い南アフリカは、17世紀半ばからオランダ、続いてイギリスの植民地となり、20世紀初頭の独立後も人種隔離政策が残っていました。1994年に民主政権が発足しましたが、それまでの長期間の影響もあり、一部の人だけが利益を得て、それ以外の人々は十分な収入が得られないなどかつての格差が現代まで続いています。
また、貧困地域では子どもの教育も行き届かないために、経済がなかなか発展しません。そのため、医療や教育の遅れも生じ、それが資源の奪い合いを繰り返すことにつながって、情勢は一向に改善されないのです。
資源の奪い合いによる紛争や、宗教や人種の違い、政治に対する怒りなどあらゆる理由で紛争が起こっています。紛争で家や職を失い、難民となる人は現在もあとを絶ちません。
また、難民の多くは子どもや女性であり、さまざまな非人道的な問題に巻き込まれてしまいます。一度難民になると、住居がなく収入も得ることができないため、貧困から抜け出すのは難しいのが現状です。
貧困をもたらす大きな要因となるのが災害です。近年では気候変動による干ばつや集中豪雨、洪水や山火事などが発生し、人々の財産や仕事に多大な影響を及ぼしています。農作物が全滅したことで収入源を失い、貧困に陥るといった問題も。
特に途上国の場合は、災害対策の制度や費用が十分ではないため、支援を受けることが難しいのです。災害の問題はコントロールができないため、さらに貧困が増加する可能性も否めません。
各国がSDGsの取り組みを行っていますが、貧困撲滅までの道のりはまだまだ遠いと言えるでしょう。
では、私たちにできることは何でしょうか。それは、寄付で支援をしたりボランティア活動に参加したりすることです。また、SNSを使って世界や日本国内の貧困問題の現状を発信し、支援を広げる活動を行うのも良いでしょう。
寄付やボランティアで支援をしたい人は、世界中のさまざまな団体や機関が貧困問題を解決するための活動を行っているため、アクセスしてみることをおすすめします。その行動が貧困で苦しむ人の命を救い、笑顔を増やすことにつながるかもしれません。
ぜひ、世界の貧困問題の解決に向かって、今自分に何ができるかを一緒に考えてみませんか。
https://gooddo.jp/magazine/poverty/children_proverty/73/
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/1-poverty/
https://www.worldvision.jp/children/education_05.html