地球上には約14億㎦もの水資源が存在し、水の惑星の異名に相応しい量を蓄えています。
しかしそのうちの97%は海水でほとんどの場合そのまま使用することはできず、私たちが使用することができる淡水の量となると0.1%以下の量しかありません。
また、地域によっても使用することができる水の量には差異があり、日本やカナダのように国民一人一人が十分な水資源を活用することができる地域がある一方で、中東やアフリカのように国全体で水不足に陥っている地域もあります。
また、現在水不足に陥っていない地域でも安心はできません。
今後世界の人口が増えるに従って必要とされる水量が増加するという将来の危機のみならず、持続可能でない水の過剰使用によって引き起こされる水資源の欠乏は、現在も発生している危機です。
例えば工業排水の処理や下水道の整備が不十分だと周囲の水源を汚染してしまい、結果多くの水資源が利用不可能となり、失われてしまいます。また農業のための灌漑などが行き過ぎて周辺の湖沼が縮小し、環境だけでなく生態系にも大きな影響を与えるケースも発生しています。
世界の水の使用量の割合を見ると、農業用水70%、工業用水22%、生活用水は8%といわれています。
また、新興国や発展途上国に行くほど、生活用水の割合が低くなり、農業用水と工業用水の比率が高くなる傾向にあります。
こういった国では、十分な生活用水を確保することが出来ていないにもかかわらず、経済を維持するために農業や工業に水を優先して配分する場合もあります。
そして農業を優先した結果、大変な干ばつが引き起こされた例も存在します。
例えばチリのペトルカ地方はアボカドが多く生産されている地域ですが、近年のアボカドのブームに目を付けた資本家がアボカドの栽培の為に違法に水を使用した結果、2019年には非常事態宣言が出される結果となりました。
このような事態を引き起こさない為にも、私たちは水資源の使用方法を今一度考え直す必要があります。
日本で暮らす私たちにとって水不足はあまり身近な問題には感じられないかもしれません。
しかし世界で起きている水問題を自分事として受け止め、その解決方法を今から考えていく必要があるでしょう。(*1*2*3)
*1 経済産業省HP 工業用水について
https://www.meti.go.jp/policy/local_economy/kougyouyousui/
*2 JICA HP 『池上彰と考える!ビジネスパーソンの「国際貢献」入門』
https://www.jica.go.jp/aboutoda/ikegami/01/index.html
*3 野村グループHP 宮地 邦治「水不足問題と水関連ビジネス」『財界観測』2009年春号
https://www.nomuraholdings.com/jp/services/zaikai/journal/p_200904_01.html