5月5日はこどもの日。お子さんのいるご家庭では、こいのぼりを飾ったり柏餅を食べたりして過ごすところも多いのではないでしょうか。しかし、こどもの日にはどんな由来があるのでしょうか。
また、「端午の節句」と「こどもの日」は同じ日ではありますがそれぞれ別の意味があります。さらにこどもの日は5月5日だけではなく、「世界こどもの日」という日もあります。世界こどもの日は、一体どんな目的でつくられたのでしょうか。
そこで今回は「こどもの日」や「端午の節句」の由来に触れながら、「世界こどもの日」が制定された目的や内容について、わかりやすく解説します!
もともと5月5日は、男の子の健やかな成長や幸せを願って祝う「端午の節句」でした。
端午の節句はこどもの日よりも古くからあり、古代中国から日本に伝わってきた「厄払い」の風習が始まりだったといわれています。その厄払いの時に使っていた菖蒲(しょうぶ)が武道を重んじるという意味の「尚武(しょうぶ)」という言葉に似ていることから、次第に男の子の健康や成長を願う日として定着していったといわれています。
その一方で、1948年(昭和23年)に「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかると共に母に感謝する日」という意味で、同じ5月5日に国民の祝日として新たに「こどもの日」が定められました。
このようにして、元々5月5日は男の子を祝う日でしたが、「こどもの日」が定められてからは、男の子に限らず女の子も含め、すべてのこどもを祝う日となりました。ちなみに、こどもの日が「母に感謝する」という日でもあることは、あまり知られていないかもしれませんね。
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では、世界こどもの日とは一体いつなのでしょうか。そして何を目的として制定されたのでしょう。
「世界こどもの日」は、「世界のこどもたちの相互理解と福祉の向上」を目的として、1954年11月20日に国連が制定しました。
毎年11月20日には、こどもが主体となって参加できるイベントが世界で開催されています。イベントの目的は、こどもの権利を再認識することや、福祉の向上です。イベントによっては、より良い世界を願うこどもたちの意見を、政府関係者など大人たちに届ける場にもなっています。
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世界こどもの日の目的として、「こどもの権利を再認識する」とありますが、そもそもこどもの権利とは何でしょうか。
世界こどもの日制定から5年後、1959年11月20日に国連総会で「こどもの権利宣言」が取り上げられ、その30年後には「こどもの権利条約」が定められました。この条約の中では主に4つの権利を定めています。
1、「生きる権利」…住む場所や食べ物があり、病気やケガをした時には医療を受けられる権利。
2、「育つ権利」…すべてのこどもが教育を受けたり遊んだりして、心身ともに健康に成長できる権利。
3、「守られる権利」…暴力、虐待、搾取から守られる権利。
4、「参加できる権利」…こどもが自由に発言でき、意志が尊重される権利。
このように、すべてのこどもたちは大人と同じように権利を持っています。それが「こどもの権利」です。
こどもの権利条約が制定されたことにより、世界各国でこどもを守るための取り組みが進められ、多くの成果が生まれました。
例えば、5歳未満で亡くなるこどもが1990〜2021年の間に1270万から520万人に減ったことなどがあげられます。また、アフリカ・サハラ以南地域での初等教育率が上がったことがわかっています。
成果が見られる一方で、まだ権利が守られていないこどもたちがいることも忘れてはなりません。
世界では今でも520万人のこどもが5歳未満で命を落としています。幼いこどもが6秒に1人、亡くなっているのです。
また、小学校に通えないこどもは5,900万人います。さらに、1億6000万人のこどもが児童労働者として働かされており、そのうち7,900万人は危険な状況下、悪条件で働かされています。
こうした権利が守られていないこどもを救うのは大人の責任であり、義務ともいえるでしょう。
今回は5月5日「こどもの日」と11月20日「世界こどもの日」について、それぞれの由来や意味などを紹介しました。
世界を見ると深刻な状況下に置かれているこどもたちが、まだまだ多く存在しています。一方で日本でも、こどもの貧困問題などがあります。こどもの権利を守るのは、大人の役目です。
ぜひ、5月5日のこどもの日に加え、これからは11月20日の世界こどもの日にも関心を向け、日本の、そして世界のこどもたちの権利を守るためにできることを考えてみてはいかがでしょうか。
https://www.unicef.or.jp/wcd/
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html