電気自動車とは、電気の力を利用して走る自動車のことです。英語で「Electric Vehicle」と表し、略して「EV」とも呼ばれています。電気自動車はガソリン不要で二酸化炭素(CO2)を排出せずに走行することができるため、環境に良いイメージがあるでしょう。しかし、普及を進めるには課題も多いのが現状です。とはいえ、SDGsの達成に大きく貢献できると期待されている電気自動車。今回はその理由や抱えている課題についてわかりやすく解説します!
日本政府は、2050年までに脱炭素社会を目指すことを宣言しています。脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量のうち、人間の活動によるものを「実質ゼロ」にする社会のことです。また、同じ意味を持つ言葉として「カーボンニュートラル」としても表現されます。
温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」としているのは、どうしても削減しきれなかったCO2の排出量を、森林管理や植林による吸収量を差し引き、排出量を実質的にゼロにするということを意味しています。
従来の自動車(ガソリン車)は、国内のCO2排出量の16%を占めているとされています。そのため、電気自動車に切り替えることで、CO2排出量を大幅に削減することができるのです。
政府は「2035年までに新車販売は電気自動車100%を実現する」と発表しています。つまり、2035年にはガソリン車はほとんど販売されなくなるということです。このように、電気自動車は脱炭素社会に必要不可欠であるといえるでしょう。
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日本は2009年に電気自動車が導入され、そのスピードは他国に比べても早かったといわれています。しかし、その後思うように普及が進まず、現在日本の電気自動車の普及率は国内における自動車市場全体の0.8%しかありません。
ちなみに、電気自動車の普及率が世界トップの国はノルウェーです。2021年11月時点でノルウェーの自動車市場全体の73.8%を占めています。
なぜ日本は電気自動車の普及が進まないのでしょうか。それは、普及を進めるにあたって解決しなければならない課題があるからです。
ここでは現在日本が抱えている課題について見ていきましょう。
まずは、充電インフラを充実させることです。なぜなら、充電スタンドの不足が電気自動車の普及が進んでいない最大の原因だからです。
電気自動車の急速充電スタンドは、コンビニや大型商業施設、カーディーラーなどに設置されており、年々増えてはいるものの、各スポットに1〜2基しか用意されていません。
充電スポットが少なければ、運転中に充電が切れてしまう不安がよぎり、購入に至らないのは当然ともいえるでしょう。
ガソリンスタンドのように街のあちこちに急速充電スポットを増やすことで、ドライバーの安心につながり、電気自動車の普及が進んでいくと考えられます。
もうひとつの課題は、再生可能エネルギーへの転換です。脱炭素社会を目指して、電気自動車の普及を促してはいるものの、実は電気自動車を生産する段階で温室効果ガスが発生してしまうという問題があります。
日本の電力のほとんどは、石油や天然ガス、石炭を原料とした火力発電です。そのため、電気自動車を充電するための電気を発電する際にも、温室効果ガスが出てしまいます。
ガソリン車の排出量に比べれば、この排出量は少ないとされていますが、これらの問題を解決するためには、再生可能エネルギーへの転換を進める必要があるといえるでしょう。
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電気自動車が普及し、再生可能エネルギーへの転換が実現するならば、SDGs目標7の「エネルギーをクリーンにそしてみんなに」やSDGs目標13の「気候変動に具体的な対策を」の達成へと大きく貢献することができます。太陽光や風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーへの転換は、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現も夢ではありません。
また、脱炭素社会は人類が抱える気候変動という大きな課題を解決へと導くことでしょう。電気自動車が普及すれば、ガソリン車から出る排気ガスが無くなり、空気もきれいになります。
そうなると、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成にもつながるでしょう。さらに、充電インフラの充実は、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にも関わります。このように、電気自動車の普及は未来を良くするうえでも欠かせない取り組みであるといえます。しかし、これらの達成にはまだまだ課題と向き合わなければなりません。今後日本がどのように充電インフラを整えていくかなど、見守る必要があるでしょう。