健康的な食事というと、皆さんはどんな食事をイメージするでしょうか。カロリーの摂取量を気にするかもしれないし、油や塩分の少ない食事を想像する人もいるでしょう。一言に健康的な食事と言っても基準は様々です。今回は、アスリートも栄養摂取の際に特に気を使っているPFCバランスを基準に、栄養の摂り方について考えていきましょう。
PFCとはProtein(たんぱく質)Fat(脂質)Carbohydrate(炭水化物)の三大栄養素の頭文字をとったものです。脂質や炭水化物はダイエット等で避けられがちな存在ですが、人間が健康的な身体を維持するためには必要な栄養素だということを忘れてはいけません。体内において、たんぱく質・脂質・炭水化物はそれぞれ1gあたり4Kcal・9Kcal・4Kcalのエネルギーに変換されます。この、三大栄養素を一回の食事でどのくらいの割合で摂取するかを考えていくのがPFCバランスです。このバランスが崩れた食生活を続けると身体に様々な影響を及ぼすとされています。
しかし、現代日本の食事はこのバランスが崩れてきています。背景には食事の欧米化があるとされており、実際にPFCバランスに占める脂質の割合が1960年代と比較して2倍以上に増加しています。その結果として日本人の健康寿命が損なわれる可能性が危惧されています(*1)。
事実、かつての日本と比較して生活習慣病や肥満と診断される人は増加傾向にあり、国を挙げて食生活の改善が呼びかけられています。
それでは、実際にどのようなバランスで栄養を摂取するべきかを見ていきましょう。
一般的には一度の食事で、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%の割合で摂取するのが理想的とされています。これをエネルギー(カロリー)ベースで考えてみましょう。一日に摂取すべきエネルギーは、身体活動量が「ふつう」の成人女性の場合、おおよそ2000Kcalとされています。(性別、年齢、身体活動量によって必要量は異なります)これを3食で割ると1食の摂取エネルギーは666Kcalとなります。その為1食あたりで考えると、たんぱく質100Kcal(25g)脂質166Kcal(18g)炭水化物400Kcal(100g)の割合で摂取するのが理想的と言えるでしょう。
食品表示基準の規定により、国内で販売されている加工食品には、たんぱく質、脂質、炭水化物の量の表示が義務付けられています(*2)。食品を購入する際は合計摂取エネルギーだけでなく、表示から求められるPFCバランスにも注意してみてみると、理想的な食生活に一歩近づけるかもしれません。
*1 中谷 朋昭、木村 勇輝、橋本 大佑「日本人の栄養素摂取バランスに関する時系列分析」『フードシステム研究第24巻2号』2017
*2 消費者庁HP、栄養成分表示について
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/nutrient_declearation/