人工光型植物工場は高い気密性を確立し、気象などの不確実性を持つ外的要因から隔離された環境での作物の栽培が可能である。
したがって作物成長における不確定要素はほとんど無く、生産性の大部分が工場のシステムに依存している。
しかし、人工光の利用や水耕栽培など、露地栽培と大きく異なる条件での栽培の歴史は浅く、各成長要因と成長量との関係解析はいまだ不十分である。
そこで本研究では、人工光型植物工場を対象に、温湿度などの栽培条件と収穫量との関係解析を目的として収穫量の予測式を構築した。
予測式は栽培中の期間ごとにセンサから取得した環境データを用いて構築し、進化計算法を用いて実験と最適化を並行して実施する。
環境データは、栽培溶液の水温・pH・ECや栽培室内の温湿度・CO2濃度を観測項目として使用した。
工場で実際に栽培されているフリルレタス、ロメインレタス、バジルの3品種を対象に実験を行ったところ、高い精度の予測式の構築に成功した。
予測式からは、栽培溶液の水温や栽培初期段階での環境要因が成長に大きな影響を与えること、品種によって影響を与える項目が異なることが確認された。
引用元:人工光型植物工場における栽培条件と収穫量との関係解析