最近、テレビやニュースでもよく耳にするようになった「SDGs」という言葉。しかし「何て読むの?」「どういう意味?」と疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
そこで今回はSDGs(エスディージーズ)が誕生した背景やSDGsの内容(目標1~7)を簡単にわかりやすく解説します!
(目標8~17については、こちらの記事で解説しています。
「SDGsとは?17の目標の内容を簡単にわかりやすく解説!②」へ)
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ)」の頭文字をとった略称。日本語で言うと「持続可能な開発目標」という意味です。
「2030年までに持続可能なより良い世界を目指すための国際目標」として、2015年の国連サミットで大々的に掲げられ、今や世界のあらゆる国や企業が目標実現に向けて取り組みを進めています。
しかし、そもそもなぜSDGsが生まれたのでしょうか。まずは、その背景について見ていきましょう。
もともとSDGsの前身として、「MDGs」という目標がありました。MDGsとは、2000年の国連ミレニアム・サミットで発表され、2015年まで行われていた「ミレニアム開発目標」のことです。主に発展途上国の社会問題を解決するために8つの目標を掲げていました。MDGsの目標は以下の通りです。
1.「極度の貧困と飢餓の撲滅」
2.「普遍的初等教育の達成」
3.「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」
4.「乳幼児死亡率の削減」
5.「妊産婦の健康の改善」
6.「HIV/エイズ、マラリア及びその他の疫病の蔓延防止」
7.「環境の持続可能性の確保」
8.「開発のためのグローバルなパートナーシップの推進」
この8つの目標は、もともと発展途上国に向けて作られたため、日本をはじめとする先進国では積極的に取り組めなかったとも言われています。
15年間で一定の成果をあげることができたものの、まだまだ課題が残る結果となりました。そのMDGsの反省を生かし、3年間議論を重ねて生まれたのがSDGsです。
より良い世界を築くためには、発展途上国と先進国を分けて課題解決を図るのではなく、すべての国が一丸となって地球規模で取り組まなければならないのです。
SDGsが誕生した理由には、産業革命の影響による気候変動や格差問題も大きく関わっています。18世紀にイギリスで起こった産業革命により、経済の中心が農業から工業へと大きく変化しました。
科学技術の発展や物資の大量生産によって、多くのエネルギー資源が必要となり、石油や石炭などの化石燃料や森林資源が大量に消費されてきたのです。そのため、二酸化炭素の排出量が増え、地球温暖化が進むなど、気候変動の問題が発生しています。
その結果、途上国では貧しい地域が気候変動でさらに貧しくなるといった悪循環が生まれているのです。また、物資を安価に大量生産するために過酷な労働を強いられ、低賃金で働かされている女性や子どもがいることも忘れてはなりません。こういった経済競争による社会問題の深刻化に歯止めをかけなければいけない、という危機感から生まれたのがSDGsです。
SDGsが定めた17の目標とは一体どのような内容なのでしょうか。人類共通の約束とも言うべき17の目標の内容を確認していきましょう。
世界には衣食住に困っている人がたくさんいます。途上国に限らず先進国の日本でも、ひとり親家庭などで貧困が存在している状況です。
貧困状態にあると思うような教育や医療が受けられなかったり、就職が困難だったりとさまざまな問題が発生します。あらゆる貧困を無くしてすべての子どもたちが希望を持てる社会になるよう目指していかなければなりません。
飢餓を終わらせ、すべての人の食料を安定確保することと、栄養状態の改善を目指す目標です。また、地球環境や生物の多様性を守りながら農業生産量を増やしていくことにより、持続可能な農業の実現も目指しています。
世界には病気になっても適切な治療が受けられなかったり、ワクチンが得られず予防できたはずの感染症にかかってしまったりする人がたくさんいます。すべての人が健康で病気を予防でき、福祉を受けられる世界を目指す目標です。加えて、交通事故による負傷者や死者を減らすことや、環境の汚染を減らしていくことも含まれています。
教育を受ける権利は誰にでもあります。すべての人々が質の高い教育や職業訓練を平等に受けられるようにするためには、安全で通いやすい学校設備を整える必要があります。
また、教える資格を持つ先生を増やすことも不可欠です。さらに、紛争や災害などの状況下でも子どもたちが教育を受けられるようにすることも含まれています。
性別を理由に差別されない社会を目指す目標です。女性というだけで差別されることなく、政治や経済の場にも男女が平等に参加することも求められています。また、家事や子育てを分担することや、妊娠や出産についての権利保護もこの目標の重要な要素です。
水道水を安心して飲める国は世界でわずか9ヵ国しかありません。誰もが安全な水を使えるようになるには、下水処理やゴミ処理などの衛生設備が整った環境をつくる必要があります。また、不衛生な野外のトイレをなくすことや、水のリサイクルに取り組むことなども掲げられています。
電気・ガスなどのエネルギーを、すべての人々が手頃な価格で安定して使えるようにすることを目指しています。
また、石油や石炭などの限りあるエネルギー源に頼らず、太陽光や風力、水など自然の力を利用した環境にやさしいエネルギーを増やすことで、持続可能かつ信頼できるエネルギー供給を実現することも目標にしています。
今回はSDGsの基本的な意味、SDGsがつくられた経緯、そしてSDGs目標1~7の内容について、簡単に解説してきました。SDGsは地球上のどんな人にとっても他人ごとではありません。まずは自分と関係がある部分はどこか、一緒に考えてみませんか。当記事の後半にあたる②では、目標8~17の内容を解説します。
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