SDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容と世界の現状

SDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容と世界の現状

SDGs(持続可能な開発目標)の目標4にある「質の高い教育をみんなに」が設定された背景には、世界における深刻な教育問題が関係しています。SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは一体どのような内容なのでしょうか。また、なぜこの目標が設定されたのでしょう。それは教育に対する世界の現状や教育格差が与える影響が問題視されているからです。

今回はSDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容をもとに、世界の教育における現状や、教育格差が与える影響について解説します。

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目次

SDGs 目標4「質の高い教育をみんなに」とは?

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは、世界中の誰もが平等に質の高い教育を受けられるようにすることを目指す目標です。子どもを持つ親なら皆、我が子には質の高い教育を受けさせたいと思うことでしょう。

例えば日本では、義務教育の制度があるため、小学校から中学校まで通い、基礎的な学習を受けることができます。

しかし世界を見渡してみると、学校に行きたくても行けない子どもたちが数多く存在しているのです。この目標が生まれた背景には、十分に教育を受けられない子どもたちがいることがあります。

SDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容と世界の現状|SDGs 目標4「質の高い教育をみんなに」とは?

世界の現状

では、実際に学校に通えず教育を受けられない子どもたちは世界にどのくらいいるのか、またその原因について詳しく見ていきましょう。

SDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容と世界の現状|世界の現状

<学校に通えていない子どもは世界で約3億300万人>

2018年にユニセフ(国連児童基金)が出した報告書によると、学校に通えていない子ども(5歳〜17歳)は世界で約3億300万人いるといわれています。中でも発展途上国の就学率は低く、東アフリカに位置する南スーダンでは初等教育の純就学率が全体で31%、女の子は27%とされています。

また、就学をしていたとしても実際に通学できているのは、そのうちの2割です。さらに、生涯にわたって学べる機会がなく、大人になっても読み書きができないという人も少なくありません。

国連広報センターのSDGs報告2019によると、読み書きのできない成人の数は7億5,000万人。しかもそのうちの3分の2は女性といわれています。

<教育を受けられない原因>

ではなぜ、学校に通えず、教育を受けられないといった状況が発生してしまうのでしょうか。そこには次のような原因があります。

◆学べる環境が整っていない
教育を受けられない原因のひとつに、学べる環境が整っていないことがあげられます。学校が徒歩で通学できる範囲にないことや、教員が不足しているなどの問題があります。また、教員の質が低く、質の高い教育を提供できる人材がいないことも理由のひとつです。

◆家計を支えるために働きに出なければならない
就学できたとしても家計を支えるために働きに出なければならず、通学できなくなる子どもがいます。また家族の世話をしなければならず、教育を受ける時間や余裕がない子どもも少なくありません。

◆貧困で学費が払えない
お金がないといった理由で、学費や教材費が払えず、やむなく就学をあきらめるケースもあります。

◆伝統的な女性差別や習慣
「女性の役目は家事をすることなので教育を受ける必要はない」といった考えを持つ親や、そもそも自分自身が教育を受けておらず、学校に通う必要性を感じていない親もいます。

◆戦争や紛争で通えない
戦争や紛争が起こり、学校に通える状況でなくなってしまうことがあります。内戦で難民になってしまったり、兵士として駆り出されてしまったりすることもあるのです。

<教育格差が与える影響>

教育を受けられない原因を見てきましたが、十分な教育を受けられないと、人々の生活にどのような影響が生じるのでしょうか。ここでは、教育格差が与える影響について解説します。

◆読み書きや計算ができず、必要な情報が得られない
読み書きができないため、必要な情報が得られないだけでなく、本を読んで知識を深めることもできません。また、注意書きなどを理解することができず、危険にさらされる可能性があります。

さらに、計算ができないことで、金銭トラブルなどに巻き込まれてしまうことも考えられるでしょう。

◆安定した職につくことが難しい
教育を受けられていないために、必要な技術の取得ができず、安定した職につくことが難しくなります。資料や説明書が読めず、提出物の作成なども困難となると、単純労働しか選択肢がありません。そうなると、収入も不安定になってしまうことが考えられます。

◆公的なサービスを受けられない
読み書きができないと、公的なサービスを受けるための書類を提出することができません。
生活の助けとなるサービスも受けることができず、暮らしを豊かにするチャンスを逃してしまうことになるでしょう。

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SDGs4「質の高い教育をみんなに」の内容と世界の現状|<教育格差が与える影響>

誰もが質の高い教育を受けられるようにするために

日本では政府をはじめ、各企業や団体がSDGs4の目標を達成するために、さまざまな取り組みを行っています。

例えば、フィリピンの小学校に新校舎を建設したり、カンボジアにソーラーランタンを寄附して、夜でも勉学に励めるような環境作りの手助けをしたりといった事例もあります。

企業や団体の取り組みは大きいものですが、私たちひとりひとりが世界の教育に関する状況を知ることも、課題解決への大きな一歩です。

そして、寄附や募金をしてみるなど、何かひとつ行動を起こすことで、未来を担う子どもたちの成長を手助けすることにつながります。誰もが質の高い教育を受けられるようになれば、持続可能な社会の実現に向けて大きく前進することでしょう。

参考:

https://www.unicef.or.jp/news/2018/0155.html
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_report/sdgs_report_2019/
https://www.worldvision.jp/children/education_01.html

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