2030年までにより良い社会を目指すSDGs(持続可能な開発目標)。世界共通の目標として2015年に定められてから約6年が経ちました。
2030年のゴールまで残り8年となった今、日本を含め各国のSDGs達成度はどのくらいなのでしょうか?また、コロナ禍が続く2022年、各国はSDGs達成に近づくことができるのでしょうか。
今回は世界各国のSDGs達成度や日本におけるSDGsの進捗状況、取り組みを進めるべき重要課題などを解説します。
まずは、SDGsのすべての目標を対象とした、2021年最新版の世界SDGs達成度ランキングを見ていきましょう。
1位 フィンランド
2位 スウェーデン
3位 デンマーク
4位 ドイツ
5位 ベルギー
6位 オーストリア
7位 ノルウェー
8位 フランス
9位 スロベニア
10位 エストニア
このように北欧の国が上位を占めており、それに続いてヨーロッパの国々も達成度が高いということがわかります。
北欧の国がSDGsの取り組みが進んでいる背景には、SDGsが定められる以前から持続可能性という考え方を持ち、国全体として環境への意識が高いことが理由としてあげられるでしょう。
しかし、SDGs17の目標すべての達成度が高いわけではなく、気候変動や生物多様性の保全に関しては、他国と同様、取り組みの進捗に課題を抱えています。
ちなみに10位以内に入らなかった主要国は、アメリカが32位、中国が57位、ロシアが46位、タイが43位、ブラジルが61位、インドが120位となっています。
では、日本のSDGs達成度ランキングは何位なのでしょうか。
2021年度のSDGs達成度ランキングで、日本は18位でした。進捗状況に大きな変化はないものの、昨年の17位から1つ下がる結果となっています。日本は2017年に11位でしたが、その後2018年15位、2019年15位、2020年17位と下がり、今回は過去最低だった2016年に並びました。
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ここでは、2021年のレポートから日本におけるSDGsの進捗状況を確認していきましょう。
日本において取り組みが順調に進んでいる項目は、以下の4つです。
目標4「質の高い教育をみんなに」
目標6「安全な水とトイレを世界中に」
目標8「働きがいも経済成長も」
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
日本では、ここ数年で幼児教育・保育の無償化や、私立高等学校授業料の実質無償化など、教育負担の軽減に取り組んできました。
また、AIの進化やグローバル化の進展に伴い、2020年には学習指導要領の改訂が行われています。
続いて目標6「安全な水とトイレを世界中に」に関して、日本は地形上、水資源を確保するのに不利な条件でありながら、水インフラを整えるための努力を重ねてきました。今では水道普及率が98%を超えています。
目標8「働きがいも経済成長も」については、2008年のリーマンショック後、一時期は過去最高の失業率に達しましたが、その後経済の回復と共に失業率は下がり、人手不足が深刻化するほどでした。
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月には休業者(仕事を持っているが、対象期間中に少しも仕事をしなかった人)が大きく増加しましたが、2ヵ月後の調査では約40%の人が従業者に戻りました。加えて、働き方改革もあり、就業形態の多様化や就業時間の短縮化などの取り組みが評価される一因といえるでしょう。
目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」においては、政府がカーボンニュートラルを目指すことを宣言したこともあり、さらにイノベーションの促進を図る方針です。
次に、取り組みが遅れているとされる項目は以下の5つです。
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
目標13「気候変動に具体的な対策を」
目標14「海の豊かさを守ろう」
目標15「陸の豊かさも守ろう」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
日本において最大の課題といわれているのが、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」です。国会における女性議員の割合や賃金のジェンダー格差などは、なかなか改善が見られずにいます。
また、家庭内の家事や育児・介護などの無償労働時間のジェンダー格差に関しては、データが不足しており、進捗具合すら不明となっています。
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日本におけるSDGsの進捗状況をお伝えしてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、世界全体で見るとSDGsの進捗状況は後退しているといわれています。その要因となるのが、貧困率や失業率の大幅な増加です。
しかし、すべての国の進捗が後退しているわけではなく、SDGsの取り組みができた国とそうでない国で差が開いています。
例えばサハラ以南のアフリカやその周辺地域では、昨年1年間で推定1億2000万人が極貧に陥っているのです。
世界共通の目標であるSDGs「誰一人取り残さない世界」を目指すには、このような途上国の財政余地を増やすことが必要だと考えられています。
2030年まで残り8年。SDGsを達成するためには、国家レベルだけではなく、個人の取り組みにも委ねられています。
SDGsの進捗状況を知ることで、取り組みを強化しなければならない項目がわかるでしょう。そして、理解を深めることで具体的な行動へとつながっていきます。
より深く日本のSDGs進捗状況を知りたい人は「SDGsアクションプラン2022」をぜひチェックしてみてくださいね。
※SDGs アクションプラン2022
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/SDGs_Action_Plan_2022.pdf
・参考
https://www.asahi.com/sdgs/article/14411573